
「親が自宅で転倒して骨折し、突然入院することになった」
「久しぶりに帰省したら、親の物忘れが激しくなっていて一人暮らしが心配…」
親の介護は、多くの場合なんの予告もなく突然始まります。
突然の事態にパニックになり、「自分が頑張って看なければ」「仕事を休んで付き添わなきゃ」と一人で抱え込んでしまうと、心身ともに追い詰められ、介護離職や共倒れの原因になってしまいます。
介護が必要になったときにまず真っ先に行うべきなのは、公的介護保険サービスを利用するための「要介護認定(ようかいごにんてい)」の申請です。
本記事では、介護のスタート時に踏むべき最初の3ステップから、要介護認定の申請手順、訪問調査で損をしないためのコツまで詳しく解説します。
パニックを防ぐ!介護が必要になったときの「最初の3ステップ」
親に介護が必要だと感じたら、自分たちだけで解決しようとせず、以下の3ステップでプロの窓口に繋がることが最優先です。
ステップ1:病院の「医療ソーシャルワーカー(MSW)」に相談する(※入院中の場合)
親が病気やケガで入院している場合は、病院内にいる「医療ソーシャルワーカー(MSW)」に相談しましょう。 退院後の在宅介護の準備や、転院先・リハビリ病院の探しかた、入院中にできる介護保険の申請手続きについて親身にサポートしてくれます。
ステップ2:地元の「地域包括支援センター」へ連絡する(※自宅で異変を感じた場合)
自宅で暮らしている親の衰えや認知症が気になり始めたら、親が住んでいる自治体の「地域包括支援センター」に連絡します。 地域包括支援センターは、高齢者の医療・介護・福祉に関するよろず相談窓口です。保健師や社会福祉士などの専門家が無料で相談に乗ってくれます。
ステップ3:「要介護認定」の申請を行う
介護保険を使ってデイサービスやヘルパー、車椅子レンタル、介護施設などを利用するには、「要介護認定」を受ける必要があります。申請から認定結果が出るまで通常約30日かかるため、必要性を感じたらすぐに申請を進めましょう。
介護保険を使うための必須手続き「要介護認定」5つのステップ

要介護認定の手続きは、以下の5つのステップで進行します。
【ステップ1】申請書類の提出(役所・地域包括支援センター)
↓
【ステップ2】訪問調査の実施(調査員が自宅や病院を訪問)
↓
【ステップ3】主治医意見書の作成(行政から主治医へ直接依頼)
↓
【ステップ4】一次判定・二次判定(コンピュータ判定と審査会)
↓
【ステップ5】認定結果の通知(要支援1〜2、要介護1〜5、自立)
ステップ1:申請書類の提出
親が住んでいる市区町村の介護保険課、または地域包括支援センターの窓口に申請書類を提出します(家族による代理申請も可能です)。
■必要なもの: ●介護保険要介護・要支援認定申請書(窓口またはHPで入手) ●介護保険被保険者証(65歳以上の方に交付されているピンクや緑の紙) ●申請者の本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など) ●かかりつけ医(主治医)の情報(病院名、医師の氏名など)
ステップ2:訪問調査の実施
市区町村の調査員が、親が過ごしている場所(自宅や入院先の病院)を訪れ、本人の身体機能や生活状況を聞き取る「訪問調査」を行います。
ステップ3:主治医意見書の作成
市区町村から親のかかりつけ医へ直接、傷病や心身の状態に関する「主治医意見書」の作成が依頼されます(申請者が自分で手配する必要はありません)。
ステップ4:一次・二次判定(審査)
訪問調査の結果(全国一律の基準によるコンピュータ判定)と主治医意見書をもとに、「介護認定審査会」で必要な介護の度合いが審査されます。
ステップ5:認定結果の通知
申請から約1ヶ月で、自宅に認定結果通知書と新しい介護保険証が届きます。区分は以下のいずれかに判定されます。
■要支援1〜2: 日常生活はほぼ一人でできるが、部分的な支援(家事支援や予防デイサービスなど)が必要な状態。 ■要介護1〜5: 食事・排泄・入浴・歩行などに日常的な介助が必要な状態(数字が大きいほど重度)。■非該当(自立): 介護保険の対象外。自治体独自のシニア向けサービスなどを利用可能。
訪問調査で損しない!正確に状況を伝える3つのコツ

要介護認定の判定で最も重要なのが「訪問調査」です。しかし、事前の準備なしに臨むと、実態より軽く判定されてしまい、必要なサービスを受けられないリスクがあります。
コツ1:親の「見栄張り」を見越して家族が事前メモを用意する
高齢の親は、調査員の前だと張り切って「一人で着替えも掃除もできます」「問題ありません」と見栄を張ってしまうことが非常に多いです。 あらかじめ「普段困っていること」「転倒した回数」「夜間のトイレ回数や失敗」などを具体的にメモ(介護日記)にしておきましょう。
コツ2:調査には必ず家族が立ち会う
親と調査員の1対1のやり取りに任せず、必ず家族が立ち会ってください。親が「できる」と答えても、「実際は週に何度か手伝いが必要」「昨日は一人で起き上がれなかった」など、事実を優しく補足しましょう。
コツ3:「一番状態が悪いとき」を基準に伝える
調査当日にたまたま調子が良くても、日によって体調や認知機能に波がある場合は、「一番悪いとき」や「日常の平均」を基準に伝えることが大切です。
認定結果が出るまでにやっておくべき2つのこと
申請から結果が出るまでの約30日間のうちに、以下の準備を進めておくとスムーズです。
■ケアマネジャー(介護支援専門員)を探す・決める 介護サービスを利用するには、ケアプラン(介護計画書)を作成してくれる「ケアマネジャー」が必要です。地域包括支援センターから「居宅介護支援事業所」のリストをもらい、信頼できるケアマネジャーを選定しておきましょう。 ■暫定プランで介護サービスを先行利用する 退院直後などで「認定結果を待っていられない」という場合は、結果が出る前であっても「暫定ケアプラン」を作成することで、介護サービス(ベッドレンタルやデイサービスなど)を先行利用できます。まずは地域包括支援センターやケアマネジャーに相談しましょう。
まとめ:家族だけで抱え込まず、プロと地域に頼ろう
親の介護が必要になったとき、何よりも大切なのは「子どもだけで背負い込まないこと」です。
■まずは地域包括支援センターや病院のソーシャルワーカーに相談する ■介護保険を使うために、すぐに「要介護認定」を申請する ■訪問調査には必ず立ち会い、メモを用意してありのままの状況を伝える
日本の介護保険制度には、家族を助けるための様々な公的サービスや専門家が揃っています。まずは地域の窓口への一本の電話から、後悔のない介護の第一歩を踏み出しましょう。

