
遺産相続の話し合いがまとまったら、次に行うのが「遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)」の作成です。
「難しそう」「弁護士や行政書士に頼まないと作れないのでは?」と思われがちですが、基本的な書き方とルールさえ押さえれば、自分たちで作成することも十分に可能です。
本記事では、遺産分割協議書の役割から、絶対に外せない必須6項目、具体的な作成ステップ、そして書き損じを防ぐ注意点まで分かりやすく解説します。
なぜ必要?遺産分割協議書を作成する3つの目的
遺産分割協議書とは、「相続人全員で遺産の分け方を話し合い、合意した内容を証明する書類」です。主に以下の3つの目的で作成します。
名義変更や口座解約の必須書類
不動産の相続登記(名義変更)や、亡くなった方の銀行口座解約・払い戻し手続きを行う際、法務局や金融機関から提出を求められます。
親族間のトラブル再発防止
口約束だけでは、後から「そんなこと言っていない」「もっと多くもらうはずだった」といった感情的な対立(争族)が起きかねません。書面に残すことでトラブルを未然に防ぎます。
相続税の申告で節税特例を使うため
「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」など、税額を大幅に減らせる特例を適用するには、申告書とともに遺産分割協議書の提出が必須となります。
これで安心!遺産分割協議書に書くべき必須6項目

法律で厳格な様式が決まっているわけではありませんが、手続きで受理されるためには以下の6項目を正しく記載する必要があります。
被相続人の情報
氏名、生年月日、死亡年月日、最後の本籍地、最後の住所(住民票除票や戸籍謄本通りに記載)
合意文言
「相続人全員は、被相続人◯◯の遺産について分割協議を行い、以下の通り合意した。」という旨の文章
財産の特定と分配内容
■不動産:登記事項証明書(登記簿謄本)通りに「所在・地番・地目・地積」等を記載(住所表示とは異なるため注意) ■預貯金:銀行名、支店名、預金種別、口座番号、名義人を正確に記載
追記条項(予備的記載)
「後日、記載以外の遺産が発見された場合は、相続人◯◯が取得する(または再度全員で協議する)」という一文を添えておくと、後からのトラブルを防げます。
作成年月日と全員の署名
協議が成立した日付と、相続人全員の氏名(自署またはパソコン印字)
全員の「実印」の押印
各自が市区町村に登録している実印を捺印します(発行から3〜6ヶ月以内の「印鑑証明書」を添付)。
自分でもできる!遺産分割協議書を作成する5つのステップ

自分たちで作成を進める場合の手順は以下の通りです。
ステップ1:相続人と財産の調査・確定
戸籍謄本を集めて相続人を確定し、不動産や預貯金の資料を集めて「財産目録」を作ります。
ステップ2:相続人全員での遺産分割協議
全員が集まる必要はなく、電話やLINE、メールなどで話し合って合意できれば問題ありません。
ステップ3:協議書の文案作成
パソコン(Wordなど)で作成するのが一般的です(手書きも可)。
ステップ4:署名・実印の押印と契印
用紙が複数枚にわたる場合は、ページの継ぎ目に全員の実印で「契印(割印)」を押します。
ステップ5:印鑑証明書を添えて各種手続きへ
完成した協議書に、相続人全員の印鑑証明書を添えて法務局や銀行へ提出します。
失敗を防ぐ!作成時の注意点と専門家へ頼むべきケース
せっかく作成しても、記載ミスがあると銀行や法務局で手続きを拒否されてしまいます。
よくある記載ミス・注意点
■不動産の表記違い:マンションの専有部分や土地の「地番」を日常の住所で書いてしまう(必ず登記簿謄本通りに記載)。 ■印影のボヤけ:実印が不鮮明だと受け付けられないため、失敗した場合は横に押し直します。
専門家(司法書士・行政書士等)へ依頼すべきケース
■相続人の人数が多く、遠方に住んでいる・疎遠な人がいる ■相続財産に不動産が複数あり、評価や分け方が複雑 ■相続人同士の話し合いがスムーズに進まない
自分たちで進めるのが難しいと感じたら、無理をせず司法書士や行政書士などの専門家へ相談するのが確実です。
まとめ:正しく作ってスムーズな相続手続きを完了させよう
遺産分割協議書は、相続手続きを無事に完了させるための「ゴールテープ」となる大切な書類です。
ポイントをしっかり押さえれば個人でも作成できますので、財産や登記簿の正確な情報を手元に準備し、丁寧に作成を進めていきましょう!



